―宇宙人と、地雷


宇宙人と地雷の共通点は、「否定しきれない」点にある。


宇宙人がいるかどうか、現在では否定も肯定もできない。ある学者が「ある星に知的生命がいる確立」を表す数式を立てているが、すべて、「変数(xとかyとか)」である。つまり、いるかいないか、その数式からなにもいえない。観測して確かめることができないからだ。


一方の地雷は、基本的に「目に見えないが、深刻な被害を与える」ものである。深刻な被害を与えるために、埋められた側は敬遠する。あるソビエトの将軍によると、地雷を使うのに地雷は必要ないという。「埋めた、という情報があればいい」のだそうだ。地雷が埋設されているかもしれないところは普通迂回する。存在を確かめることが難しく、かつ確かめることにリスクがあるならば、このような手もありうるだろう。


ただ、大切なことは2つある。
第一に、「あるかもしれない、という不確実さ、の情報で深刻性の高いものは有益である」ということ。

第二に、「(人間だけが『否定』という概念を持っている、という文脈で)肯定も否定もできない情報をいかに処理するか、という問題は、科学や、人間に対してある意味挑発的なことである」ということ。


だと思う。