―思考しなければ精神病にはならない。


高校の時に、「戦争捕虜」について書いた本を読みました。戦争捕虜は国際法に基づいて保護する義務があります。この根拠条約が「ジュネーブ条約」です。具体的には拷問の禁止、などがあります。(守られないことも多々あります)


二次大戦中、捕虜が極端に少ない軍隊がありました。ソ連と日本です。まず、ソ連ジュネーブ条約に加盟していなかったし、スターリン全体主義の時代です。全体の勝利のためにはなんでもする、というスタイルでした。ソ連では、戦争捕虜が捕虜交換で帰ってきたら、シベリアの強制収容所に飛ばされました。当時の強制収容所は苛烈を極め、死者も多数でました。(北朝鮮の完全統制区域よりはましですが)
また、後退する部隊を憲兵や秘密警察の「督戦隊」が機関銃で(見方であるにもかかわらず!)掃射するなど、してましたので、ソ連兵は死ぬ気で(ていうか確実に死ぬ)ドイツに向かいました。捕虜になるよりは死にました。


日本は戦陣訓にもあるとおり、「死して虜囚の辱めを受けず」スタンスで望みました。その上、当時の日本人にとっては外国人に対する恐怖もあり、地元のコミュニティではぶられたくなかったので、捕虜にはなる人は少なかったのです。(事実、日本兵の捕虜の多くは「自分の名が祖国に知れるかどうか」非常に気にしました。米軍のマニュアルでは、ここでばれへんことを伝えると、日本兵はぺらぺらしゃべり、字軍に協力的になるとあります。)


という無理なスタンスの両軍は、戦死者も多いいっぽう、戦争捕虜が少ない、という不思議な状況にありました。が、しかし、統計を見ると、戦争神経症が少ない国はソ連と日本なのです。


どういうことかというと、無理なスタンス(月月火水木金金)で、休暇もほとんどなく(米軍にはローテーションがありました。)飯も食えず、火気弾薬もない状況で、多くの人が、あきらめてしまっていたからです。


考えなければ、悩まなければ、精神的なストレスは帰って軽減されるようです。


案外人間はタフなものです。ですが、かえってこの事実が、恐ろしくもあります。