―客


客にうっとうしい客、よく切れる客がいる。しかも常連である。
ハンチングに汚い上着をきた壮年の男性である。60ぐらいか。
若いころはやんちゃをしただろう。そういう感じの人。
しかし、俺は彼が嫌いではない。


一度、彼の座席のしたに写真が落ちていた。
白黒の、彼が若かったころの写真だ。
彼のものかどうか聞くと、彼は照れた感じでひったくった。


こういうやつは嫌いではない。