―フォーラム関係レポート(仮)ver_1


http://www.geocities.jp/ps020032/ninti_kagaku_ver_1.doc(リンクは飛びません)

期限:来週の火曜
個人用。



本文

■脳内の視覚認知のメカニズム―脳科学の見地より
(図)
視覚のメカニズムは、「網膜に映るゆがんだ画像を、見たまま、ありのままに修正して、いろいろな意味を付け加えて、必要なものは記憶したり、自分が動いてフィードバックする」という流れをとる。
視覚のメカニズムは大まかに以下の段階に分けられる。

まず、眼球の網膜が光の刺激を受け取る。この刺激は網膜にある2種類の細胞によって電気信号に変換される。その細胞とは錐体細胞と、かん体細胞である。

つぎに、網膜で受け取られた像は、視床にある外側膝状体を経由して、第一次視覚野へ伝わる。この第一次視覚野では、傾きや、輪郭を処理している。

これからの過程は大まかに2つに分かれる。

第一に、形態視の流れである。このプロセスでは主に物体の形の解釈が行われる。第二に、空間視のプロセスである。これは物体が空間の中のどこにあるか、という解釈が行われる。

最後に、脳科学の見地からは視覚認知のプロセスは完全に解明されているわけではなく、不明な点もたくさんあることを指摘しておく。だから、脳科学の見地のみで視覚について記述することは現状では不可能である。
したがって、これからは脳科学からではなく、認知科学、心理学、の方面から、視覚の特徴について記述していく。


■視覚的認知―認知科学、心理学の見地より。
▼視覚的認知の段階
(図)

視覚認知には段階があるとされる。(引用)によると三段階ある。

視覚認知の第一段階では、形、色、コントラスト、動きが検出される。ただし、それぞれ検出されたものの、意味づけなど高度な情報処理は行われない。これらは、視覚のメカニズム中では、網膜から視覚第一野に送られる過程で行われる。

第二段階では、第一段階で検出された原素的特徴が、基本的形態へとまとめられ、体制化される。これは、意味づけ、内容付け、の基礎となる段階である。視覚のメカニズムでは最初述べたように視覚第一野からのプロセスに相当する。この過程の脳科学的メカニズムは研究徒上にあるが、心理学の世界では古くから研究されていて詳細な成果がある。

第三段階では、長期記憶されている情報と照らしあわされ、基本的形態に意味づけがなされる。この段階を高次の認知ともいう。この段階で脳は視覚的印象に情報を与えて、ようやく意識下の世界となる。

■第一段階
輪郭、色、の検出を行う。
視覚プロセスがまず行うことは、網膜で受像した画像が、「どのように分けられるか?」を弁別することである。絵に線は必要不可欠である。一方でわれわれが見るものにすべて明確な輪郭があるわけではない。だが、明確な輪郭がないものでも人間は輪郭を認知できる。
この仕組みは網膜の視細胞の側抑制によって説明できる。
(図)(実験)(引用)


■第二段階
基本的形態とは(ノート参照)(実験とリンク!)
基本的形態とは、基本的なパターンへの共通にまとめあげられる刺激を言う。
たとえば、人間誰でもまんがの背景と人物を見分けられる。この場合、背景を「地」人物を「図」といい、図と地を見分けられる、という。これをルビン(1915)は,視野内に異質の領域があるとき,注意を向けると否とにかかわらず,まとまりのある形としてみえる領域とその他の領域とに分かれるとし,前者を図(figure),後者を地(ground)と呼んだ。
このように、認知するさい、まず、単純なパターンで認識するというのは、第一に形がほかのものから区別される必要がある、必要性からくるものである。


▼知覚的体制化
人間は、対象を簡単なパターンでまず認識する。このパターンの捉え方にはある程度法則がある。それは、「近接」「類似(類同)」「連続」「閉合」である。閉合の中で特に重要なのは「プレグナンツという概念である。」

●近接
見たものの中に似た対象が互いに近接して置かれていると、それらをまとまりとして知覚する。
(図)
また、この法則と近しいものに次に述べる類似の法則がある。

●類似(類同)
類似した要素、形、おおきさ、色について、はひとつのまとまりとして捉える傾向がある。この傾向は非常に強い。(図)ベック(1966)この図を見ると、大きな三本のまとまりを認知できる。

●連続
一方向に自然に流れる対象同士は同じまとまりとして見られやすい。
(図)

●閉合
図形を単一の閉じられた全体としてみる傾向である。
(図)
●プレグナンツ→
プレグナンツとはドイツ語で「有意味」という意味である。ゲシュタルト心理学では「人間の心が視界の中で安定した規則的な図形を求める傾向がある。そこで、人間はプレグナンツな図形を視界の中で見つけられないと落ち着かなく感じるときがある」という文脈で使用される。なお、安定して規則的な図形とは、正三角形、正方形から正六角形まで幾何学的に安定している、という意味である。
(図)


■文脈の認知に及ぼす影響。
 ▼文脈とは
一般的には文章の道筋、つながり、という意味で使われる。しかし、認知科学では別の意味が2つある。第一に「視野の物理的構成」、第二に、「観察者の経験や知識」である。

人間が認知する際に考えるべきことは、人間すべてが生理的に捉える文脈と、個人個人によって捉える文脈は異なる、ということである。たとえば、前者は点線で仕切られた円形を円形と捉える。実際は点線の集まりであるが、人間には前述したようにそう捉える傾向がある。しかし、一方では個人個人で異なる、「感想」「感覚」といったものがあるのも確かである。仕事明けに見る夕日と、作業中に窓越しに見る夕日の意味は異なっている。これは個人の社会的、個人的な記憶に左右される、「文脈」である。

このように認知科学で使われる文脈には2つの意味がある。以下、その意味を明らかにする。

 ▼物理的文脈
物理的文脈とは、「視野の中で基本的形態がどういう位置関係をしめているか」という文脈である。物理的文脈の例を挙げると、「明るさの対比」、「色の対比」「形の大小」などが上げられる。また、物理的文脈が異なることによって、おおきさ、あかるさ、色味、遠近感、鮮明さが実際とは異なって見える。
先に書いたように、基本的な知覚は基本的形態によって決定されている。その上で、その基本的形態がどういう位置関係をしめているか―「視野の物理的構成」は基本的な知覚に大きく影響を与えている。この意味で物理的文脈は重要である。

  ●明るさの対比
(図)(説明)
このように物理的文脈によって対象の明るさが違って見えることを「明るさ対比」という。明るさ対比における文脈の影響は、認知の第一段階、すなわち網膜での作用、「側抑制」に基づいている。

  ●色の対比

 ▼観察者の経験、知識に左右される文脈
この文脈には、個人差が出てくる。
観察者の経験、知識に左右される文脈を考えるに当たっては「スキーマ」という概念が大変有用である。スキーマとは「経験に基づいた記憶によって無意識の中に形作られている法則」のことである。
スキーマの働き方については心理学で研究が進められていて、スキーマの働き方、という意味で一般化が図れる

 ▼スキーマとは
(図)Hのやつ
認知の過程は一方通行ではない。人間はありのままの世界を見ているわけではない。上図のを「H」と捉えるか、「A」と捉えるかは、時と場合と人によって異なる。
(図THE CAT)
しかし、上図のならどうだろうか。英語の知識がある人ならば「THECAT」であると認識したはずだ。それは、CATの前には経験上TAE(名詞)はこないので、THEしかありえない、と無意識で判断しているためである。言い換えるならば、無意識でTHEのHを見ることを期待しているのである。このように、人間は、「期待」によって認知している。

このように、経験に基づいた記憶によって無意識の中に形作られている法則をスキーマという。スキーマは対象、風景や、考え方の構造を表象している。

知覚や記憶にスキーマが影響するという根拠は、ブルーワーとトレイエンス(1981)の研究によって示されている。(脳は絵をどのように理解するか ロバート・L・トルソ著 p155)
なお、このスキーマが働くのは前述した認知の三段階中、認知の第三段階に位置する。スキーマは過去の記憶や体験に基づいて形作られているので、記憶が重要な要素を閉めるからだ。

 ▼文脈の及ぼす影響
●注視―スキーマや興味によって変わる
基本的に視力は視軸からどれだけ離れているかによって悪くなる。言い換えると中心にあるほうが見えやすく、離れれば離れるほど見えにくくなる。それは網膜の中央部に錐体細胞が集中しているうえに、視神経がたくさん脳に連絡しているためである。
このことから、注視について重要なものは中心視である。なお中心視とは視軸中心の視覚1〜2度の範囲の視野のことを言う。情報をたくさん認知できるという意味で重要であるといえる。

以上から、人間は視野の中央部にあるものを認知しやすい。一方で、見ているものの中央部にしか、見る必要のあるものがあるとは限らない。そのため人間はものを見るとき目を動かす。これを眼球運動(サッケード)という。
サッケードにかかる時間は瞬間である。個人差はあるが、視覚で2度のサッケードに要する時間は25ミリ秒である。(脳は絵をどのように理解するかより)
しかし、見ている人が重要だなと思うものに対しては、ほかのものよりたくさん見るようにできている。例えば試験中の重要単語などにはたくさん目を通す。要する時間は300ミリ秒以上である。

人間は中央にあるものについてもっとも視力がいいので、眼球を動かして全体を把握する。全体把握の過程について書く。ある文脈の中で、ある特徴を短時間注視し、視線を動かして、別の特徴を注視する、ということを繰り返して視野を確認している。一方で視野の隅にあるものについても認識し、情報を総合するようにしている。このようにして人間は全体を把握する。なお、この過程については完全に解明されているわけではない。
大人の視覚的な注意―注視は、意図、関心、知識、動き、無意識の動機、そして文脈によって変わる。

旧ソ連のヤルブス(1961)は眼球運動と絵の知覚について先駆的な研究を行っている。まずヤルブスは少女の絵と眼球運動について実験すると、被験者は目鼻口といった顔の特徴を把握するのに比較的多くの時間を費やす傾向が見られた。ヤルブスはこれらの特徴に対する時間配分がその特徴に含まれる情報量に比例すると結論した。実際、人間は、目鼻口のバランスとそれぞれの特徴を認識した上で認知する、という脳科学の結論からも証明できる。

この上でヤルブスは眼球運動と観察者の意図について調査を行っている。ヤルブスは被験者を7つのグループに分けて、それぞれにある絵を見せて質問した。質問内容はグループごとに変えてある。その質問後の眼球運動を調査した(1967)。この結果質問内容によって眼球運動は大きく異なっている。このことで、眼球運動、注視と観察者の意図は大きく連関している。同様に、観察者が必要としている情報と、ある特徴から集められる情報の種類と量は、どの特徴にどれだけの注視時間が注がれたのか、何回見たのか、という量は直接関係しているといえる。

また、ヤルブス(1967)の実験から言える重要なことは、「質問という文脈によって注意が変わる」ということである。質問とは他人から興味関心の目的が与えられることともいえる。(ここで文脈と個人の興味関心にはフィードバック関係がある)そこで、「文脈は注視に影響を与える」ということが結論される。

以上から、人は文脈と個人の興味関心によって、対象のある特徴を注視する時間は変わる。なぜならば、第一に人間は視線の中心の情報量が多いので、眼球を動かし視野の全体を把握する。このとき観察者の目的、と周りの文脈によって必要な情報はことなるから、必要な情報のありそうな特徴をより長く、多い回数注視する。ということがいえる。


●注視時間の美術の様式による違い
注視時間は美術の様式によって異なる。それは細部がどれだけ密に描かれているのか、ということに起因する。モルナール(1981)は古典派の絵(ティツィアーノの「ヴィーナス」)とバロックの絵(ティントレットの「天の川の意義」)の一回の注視時間の差を調査した。バロックの方が、注視時間が短かった。一般にバロック派の方が細部を密に書いているため、細部の密な絵画のほうがそれぞれの特徴に振り向けられる注視時間が短いといえる。
(図、それぞれの絵の原図、CGFAにある)
逆に言うと、抽象絵画のほうがそれぞれの特徴に対する注視時間が長いことがいえる。また、ピクトグラムのようなプレグナンツな絵は、伝えようとする意図と絵が単純なため、そのために、わかりやすい、と言える。

9月12日分の投稿の本文

ピクトグラムを知る上で重要だと思われる色彩知識>

1. 色と視覚

色を感じるには「光源」「物体」「視覚」の三大要素が必要である。


 ・光と色

光は電磁波の一種で、その波長の長さによって名称や作用が違ってきます。そのうちの人が見ることのできる波長の範囲を可視範囲(380nm〜780nm)、その電磁波を可視光線、光といいます。
ニュートンはプリズムを用いて太陽光の分散の実験を行い長波長から短波長までの色の帯が赤から青紫の七色であるとしました。さらにこの分散した光を再度プリズムに通すと再び白色光にもどることから、太陽光のような白色光がそれぞれに色のついた光の集合であるということを示した。


 ・ 目の構造と機能(視細胞)

光を捉える網膜は錐体とかん体の2種類の視細胞をふくんでいます。
錐体は明るいところで働き、色覚を受け持ちます。かん体は暗いところでの明暗を受け持ちます。


2. 色の分類

 ・ 無彩色・有彩色

無彩色・・・白・黒・灰色
有彩色・・・無彩色以外の色


3. 色知覚の三属性

             
             色相・・・色味の種類(ex.赤、青、黄etc)
色(知覚)の三属性    明度・・・明るさ(白っぽいほど明度が高い)
             彩度・・・あざやかさ(色の純粋さ。原色が最も彩度が高い)


 ● 視認性(明視性)・・・よく見える色、目立つ色

視認性は見る対象の色と周囲の色との相対的関係を示すものであり、見る対象が図形の場合の視認を明視性といい、見る対象が数字、文字などの場合は可読性という。
視認性は明度差が大きく、さらに色相と彩度の差が大きいほど高くなる。


 ● 誘目性(注目性)・・・目をひきつける性質

視認性と感情興奮を備えてもいる。日常にない色を組み合わせていることが多い。
Ex.黒と黄色のストライプ


 ● 色型人間と形型人間

人間には、形よりも色に対してより興味を持つ人間と、色よりも形を主体にとらえていく人間がいる。低年齢の子どもは色を、年齢が高くなるにつれて形を優先する人が多くなる。形を優先させる人が絶対的には多いが、女性のほうが色を優先させる人が多いようである。 

Q緑の円と同じものを選べ。  A赤い丸 or B緑の三角


 ● 色の見えやすさを考える

色の視認性や誘目性を手がかりに配色を絞り込んでいく方法も考えられる。この点に関して特に環境の色彩計画では2つの大きく異なる考えがある。
ひとつは背景となる色、あるいは周囲の色に対して対照系の色相・トーン(明度・彩度)を配色することで、対象物を目立たせる方法である。緊急性を要するサインにむいている。
一方、文字としての見易さ(可読性)を重視するときは、周囲の色との明度差があることが重要である。

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特に3.知覚の三属性以降の部分はピクトグラムを考える上で重要なので理解してほしいです。

次に②集めたピクトグラムを具体的にどうしていくか、ということですが、ピクトグラムを多く収集し、それを色(赤、青、黄、緑、その他)・用途(ex.注意、案内)・絵/文字(絵だけか、文字も入っているのか)によって分類してそれぞれの傾向や共通性について考察していこうとおもってます。

たとえばJISの規定では
赤・・・防火、停止、禁止
黄・・・注意
青・・・用心
緑・・・安全、進行、救急、救護
という風に、色と意味(用途)を関連付けています。

より標準的なピクトグラムを知るために多くのピクトグラムが必要なのでフィールドワーク頑張ってください。
ピクトグラムを収集するときは管理や編集上、できるだけデジカメで撮影してください。
どうしても無理な人は写真でもかまいません。写メで撮った人は各自パソコンで利用できる状態にまとめておいてください。また、ピクトグラムは珍しいものだけでなくトイレ、非常口、電話、インフォメーションなど定番のものを必ず撮影してきてください。変わったものはそこでしか使われていない可能性が高いです。

集めたものは上記のJISのように色・用途などのできる範囲で分類してまとめておいてください。あくまで集めたものを分類するのであって、分類を考えて収集をしないようにしてください。

 <参考>  赤・・・禁煙、駐車禁止、トイレ(女) → 禁止事項、女性
       青・・・駐車場、エレベーター → 案内
       緑・・・非常口、




参考URL

  1. Qualia Manifesto Japanese Page
  2. http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/index2.html
  3. 視覚 - Wikipedia
  4. 色 - Wikipedia
  5. http://chihara.aist-nara.ac.jp/gakkai/VIR/2003PDF/S-02.pdf
  6. http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/Bindex.html
  7. http://uchikawa-mail.ip.titech.ac.jp:16080/~masuda/J/principia/MachBand/MachBand.html
  8. http://www.ir.rikkyo.ac.jp/~tsuzuki/cogsci.htm
  9. http://homepage2.nifty.com/digitallife/
  10. http://www.tabiken.com/history/doc/F/F260L100.HTM
  11. ゲシュタルト心理学 - Wikipedia

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視覚 - Wikipedia
色 - Wikipedia
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色覚異常 web site
http://homepage3.nifty.com/itako/color.html
http://homepage3.nifty.com/itako/cognitive_science.html
脳内分散情報の視床による注意統合機構
錯視 - Wikipedia [:title][:title][:title][:title][:title]




参考文献

  1. 脳と心のメカニズム

本間三郎 著
講談社 1993

  1. 脳は絵をどのように理解するか―絵画の認知科学

ロバート・L・ソルソ 著
鈴木幸太郎・小林哲生 共訳
新曜社 1997

  1. 脳とクオリア―なぜ脳に心が生まれるのか

茂木健一郎 著
日経サイエンス社 1997

  1. 瞬間情報処理の心理学―人が二秒間でできること

海保博之 編著
福村出版 2000


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