―方言を使用する理由


僕は関西に出てきてもう2年と半年がたちます。
関西弁が染み付いてきました。
というのも、なるべく故郷の言葉を使いたい、と思っているからです。


そう思うのは僕が珍しいものが好きだからです。


まず、高知方言は四国の方言の中でも、特殊な方言です。



たとえば、日本語の古文の活用が残っています。
「〜〜せざった。」(〜〜しなかった)というのは古文の否定の助動詞「〜ず」の活用が残っている例です。
(もっとも、この用法は主に中年以降が使います。僕ら若い衆は「〜〜せんかった」を使います。)
ほかにも、「〜〜やっつろう」の「つ」は完了の助動詞「つ」ですし、「いけどもいけども」は已然形活用です。(この辺は須崎など西部にいくと聞くことができます。僕は使いません。)
「ようできん」というのは「よくできない」ではなく、「え〜ず」の「え」です。可能の否定に使われる副詞です。

また、日本語では珍しく「現在完了、過去完了」の用法「〜しちゅう、〜しちょった」が存在します。
中学のhave PPの授業はこれで習いました。


最後に、独特な単語「つえる、りぐる、能が悪い」が多数存在します。実はこの辺自分でもよくわからないものです。
京都に来たばっかしの時は、「ようできんちや(できません)」というのが通用しないのに驚かされました。
また、それらの単語は、徳島、愛媛、香川とは分布を異にします。
この辺も面白いものです。


その上、高知方言の話者は少なくあります。
高知県の人口は80万人弱、東京都世田谷区より少ない人口です。
日本で二番目に人口の少ない地方です。
人口は減少しているので、いずれ死語になるでしょう。


少ない話者が独特の言語を使用している、という構図は、バスク語(言語系統不明のスペイン東北部の言語。)とかマン島語(ケルト系の言語、イギリスとアイルの中間、マン島で話される。)みたいな構図なので、僕にはたまりません。


だからといって、行政に保護するべきだとか、とは思いません。


ただ、珍しくて、少ないものだから、面白がって使っているだけです。